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~地方移住が教えてくれた音楽と人生の新たな価値観~音楽活動戦略コンサルタント大関勇気さんインタビュー#2

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前回に引き続き、音楽活動戦略コンサルタント大関勇気さんのロングインタビューをお届けします。

大関勇気さんとは?

musician’s Agent Club代表/プロデューサー

1979年3月2日生まれ
東京都新宿区出身
東京・会津若松・仙台など多拠点で活動。

ミュージシャンとして音楽活動を経験し自主レーベルを主催し独立。イベントの企画・運営などを行う。主催する音楽活動の学び場「リーダーミーティング」では、多くのフリーランスアーティストを輩出する。

「音楽業界 金のバイブル」(著)/ブログ歴14年/作家・編集者としての肩書きも持つ。
音楽雑誌や教則本を中心にKindle書籍を100作品以上リリース。

▼X https://twitter.com/artist_field

▼Instagram https://www.instagram.com/creators_agent_club

対談の様子をYouTubeで観る(アーカイブ)

下記のサムネイルをクリックすると、対談動画が再生されます。

地方移住が教えてくれた音楽と人生の新たな価値観

──今、大関さんは福島県の会津若松市にいらっしゃいますよね。北海道などにもあちこち移動されていますが、東京以外のところで暮らしてみて、音楽活動の面でどんなことを感じますか?

東京は人が多く、自分の欠点が目立つと感じることが多いですね。
同じようなミュージシャンがたくさんいるため、つい比較してしまいがちで、ネガティブな感情に囚われやすいです。
良い部分を伸ばすべきなのに欠点を補おうとするから、どんどん平均化して丸くなっちゃう。
東京はライバルが多い競争社会だから、スキルやクオリティが高まるかもしれない。
ただ、それが良いかどうかはまた別で、自分の納得感・満足感はそこにあるのかというのが問題です。

──上や横を見ればキリが無いですよね。それはそれで成長の起爆剤や刺激になるかもしれませんが、ネガティブな方向に行ってしまって、本来持っている良いところを発揮できないまま、つぶれていったり、やめてしまったり、といったことが後を絶たないですね。

僕がいる会津若松はわりと都会ですが、もうちょっと田舎だと学校のクラスが10人以下なので、サッカーの試合ができません(笑)だからその10人で何をしようかと発想するわけです。そうすると、ひとりひとりの持ち味・良さを見るようになる。

──少ないところから価値を見出すってことですね。

コンサルしている企業さんからは「いろんな発想をしますよね」と言われることがあります。
「無いところから、どうやって活用するか」という発想力に関しては、子どものころに培ったことが活かされています。
子どもの遊びって、こんなものでもこんな遊び方ができる!という新しい発想がありますよね。
ボールペンで消しゴム飛ばす、とか。(笑)

──なるほど、本来の用途と違う遊び方ができるっていうことですね。

その意味で言うと今の子供たちは、ゲームだとゲームの要素しか見ていないのかもしれませんね。
僕が子供の頃には親が抵抗があったみたいでテレビゲームを買ってもらえなかったんです。
だから、身近にあるもので知恵と工夫で遊んでいました。既存の遊びでもオリジナルのルールとか付け加えたりして。(笑)

複数の視点、そして「自分が人生の中で音楽とどう関わるか」

──コンサルをしていると物事を俯瞰する力、発想や着眼点が大事ですよね。私もよく、相談者の方が問題だと思っていることに対して「そこじゃないのにな」と思うことがあるんです。本人は気づかないんですよね。そんな場合は俯瞰で見たり、他者の目線を活用すればいいと思います。人がたくさんいれば、物の見方は少しずつ違いますよね。

悩んでいると視野が狭くなっているから、目的を見失ってしまうことがありますよね。
「ダイエットしよう!」という目的があるとき、「走っているのに痩せられない、ならもっと走ろう!」と思ってしまうかもしれませんが、走らなくても痩せる方法はある。
食べ方を変えれば痩せられるかもしれないのに、走ることに固執してしまうのは残念ですよね。
目的にこだわって、やり方にはこだわらなくて良い。
そういう風に視点をずらしてあげられたら良いなと思います。

──人々が助言を真に受けて窮屈さを感じる方もいらっしゃると思うんです。例えば、あるジャズミュージシャンは、尊敬するミュージシャンから「ジャズはビバップだけを聴くべき」と言われたそうです。現代のジャズにはヒップホップ調やコードがあまり動かないスタイルなど、多様な分野があります。この助言はおそらく「基礎が身につくまではビバップを聴いた方がいい」という意図だったと思いますが、それを文字通りに受け取ってしまうと、「ビバップ以外のジャズは聴いてはいけない」という誤解を招きます。そうなると、自分に役立つかどうかで音楽を選ぶようになり、フレーズを盗めそうかどうかやキーチェンジにのみ注目することになります。これでは音楽を聴いたときに自分が好きか嫌いか感じる感覚をスッパリ忘れてしまう。結果として、音楽はただの資料となり、多くのバンドで活動する人々にとって視野が狭まり、苦しみを感じる原因になりますよね。

難しい問題ですね。研究するという意味では、それもプロですからね。
プロは失敗に向き合わないといけないので大変です。でも楽しめるかどうかというとまた変わってきます。
だから、自分が人生の中で音楽とどう関わるかが大事ですよね。
研究して表現に生かして、発表の場が用意されているという関わり方もあるし、そうではなくてもっと自由に楽しく音楽をやるという関わり方もある。
自分がどうしたいか、自分を知るということが大事です。

──今はこのジャンルにどっぷりと浸かってみるっていうのもチャンスになり得ますが、権威のある人や先輩の思想に縛られて、自由な発想ができなくなって苦しんでいる人もいます。どう関わるか、納得できるか、ということは大事ですよね。

主体的に動くのか、恐怖や不安から動くのかは違いますね。

──「自分はどうしたい?」と見直す時期は必要なんじゃないかと思います。納得感がすごく大事ですよね。

リーダーミーティングでも伝えていますが、音楽家には「内観」と「自己開示」が大切です。
自分の心と向き合い、それを自分の言葉で周りに伝えていく。
そうすることで周りも理解して、認めてくれたり、応援してくれたりするようになっていきます。

思いやりを持って、応援し合おう

 

──コンサルティング・イベント・出版と精力的に活動されている大関さん、今後どんな取り組みをされていきますか?

新しい挑戦に「ちょっと……」と躊躇している方に一歩踏み出すきっかけを与えられればと思っています。

だからこそ、コンサルティングで音楽活動の相談に乗ったり、イベントで発表の場を作ったり、出版で広める活動をしています。

3年前* に39年間住んでた新宿から地方への移住を決断したこともそうですが、実際に行動していることを見せたいです。*対談当時からみて

活動を面白おかしく見守っていただきたいです。今度は何するんだろう?って思ってもらえたら最高です。
見守ることも応援だし、干渉されるのも僕は嫌なので、こういうのが当たり前になっていったら良いですね。

高田馬場にいた頃は非常に多様な人々が集まる環境でした。
異なる文化の人々がいざこざなく共存しており、違いを認め合い、お互いの場を上手く使うことの重要性を学びました。
人の価値観に左右されず、自分の考えを言葉で表現し、理解し合うことを大切にしていました。

それが当たり前になってほしいという思いから、「応援し合える文化を創造しよう」と発信しているんです。文化なんです。応援し合うことが当たり前になってほしいんです。

例えば、「幸せになったほうがいい」というのは、誰もが同意する基本的な考え方です。しかし、「社会人になったらちゃんとしなさい」というのは、社会の一般的な期待や平均的な規範でしかありません。僕が言いたいのは、基本的な考え方や原則が、私たちの生活の中で自然に受け入れられ、当たり前のことが当たり前になってほしいということです。

──一般的には「我関せず」という態度や、嫉妬から他人の成功を避ける傾向があります。
以前、フェスの苦情係の方のSNS発信が注目を集めました。多くの苦情は「他人が楽しそうにしているのを見ると腹が立つ」という感情から来ているそうです。でも話を深掘りすると、相手がプロレスが好きだということがわかり、プロレスと音楽の共通点を共有することで相互理解が深まりました。ミュージシャンが自分の考えを共有し、それによって生じる対話が、お互いを理解し応援し合う文化を作っていくのかなと思います。

なるほど。そのクレーム処理の方は、相手の言ったことを肯定してあげたっていうところが素晴らしいと思いますね。

──すごいコミュニケーション力だと思います。
音楽家はそういう要素が求められるシーンはあると思います。リーダーとしていろんな人たちを束ねていったり、「こっちに行くぞ!」と旗振り役にもなったり、「こんなことやりたい奴はいるか?この指止まれ!」と指を立てたりもする。そうすると、あの人と一緒にいると楽しいことが起こりそうだと。

ワクワク感を持っている人が良いと思います。
すごく簡単な言い方をすると、良い奴だとみんなついてくるんじゃないでしょうか(笑)

──良い奴とか応援したくなる奴って、歩み寄りがありますよね。

感謝できるようになりますよね。
前に電車に乗っていたときに、金髪のパンクロッカーがいたんですよ。
酔っ払ってヘロヘロで吊り革に掴まっていて、危ないし倒れてギター壊したら大変なので、入り口の横に誘導してあげたんです。そしたら強面のその人が、めちゃくちゃ笑顔で「ありがとうございます!」って(笑)
それだけで応援したくなっちゃいますもんね、「良い奴じゃん!」って。
たぶんステージではパンクなことやっているんだろうけど、そんな一面を見るとハート掴まれますよね。

──やっぱり人柄がにじみ出ますよね。

そういう人のところに、人は集まるのかなと思います。

──仲間内でも、ちょっと言いたいことがあっても優しく、可愛い言い方にするだけで、受け取る側の気持ちが変わってきますよね。ちょっとしたことで大きな変化を生むと思います。

思いやりという言葉があるじゃないですか。
でも、思いやりを持ってどういう行動をするの?というところですよね。
相手の気持ちになって行動しようみたいなことだと思いますけど、相手の気持ちなんて分からないですよね。他人だし。せめて相手のことに関心を持つようにしよう、ということだと思いますね。

──アーティスト、クリエーターの方たちは誇りや自信を持ってやっていってほしいですね。

もちろんです、作ること、クリエイティブなことは、充実度の高い活動ですので続けていってほしいです。

自分に向き合う「ひとり時間」を確保しよう

──「最後に、これだけは言っておきたい!」ということはありますか?

満ちるさんからの話にもありましたが「ひとりの時間を確保しよう」ということですね。
内観と自己開示が大事だと言いましたけど、それには自分と向き合う時間が必要です。
また、行動するためにも行動を計画する時間が大切ですよね。
行動できないのは、「いつやるか」を決められていないからなんです。
今の生活に新しいことを組み込まないといけないので、なんだかんだ忙しいから先延ばしになっちゃうんですね。
「満ちるさんとの対談」だってひとりの時間を取って、計画してメールしたから実現したわけですよね。

──非常に強く同感します。「ひとりのときに何をしているかで決まる」という名言がありました。ひとりの時間はリラックスタイムでもありますけど、ものすごくエネルギーが巡る時間でもあるので、今後の戦略とか計画にはとても大事だと思いますね。

ワクワクする時間を作ってほしいですね。
ネガティブとかマイナスに向かわずにね。寝る前にやると寝れなくなっちゃうので、みなさん明日の朝少し早く起きましょう!
そうしたら何か生まれてくるんじゃないですかね(笑)

──整理する時間はすごく大事ですよね。
「こんな風にしたいなぁ、今はまだ誰も知らない、自分だけ知っている」みたいな状態があると、そのうち「この指止まれ!」とやったときにすごく魅力的な指になるというか、ミツバチが集まる花になると思います(笑)
今日はありがとうございました!みなさんのこれからの1日も素晴らしいものでありますように!

大関勇気さんのプロフィール

musician’s Agent Club代表/プロデューサー

1979年3月2日生まれ
東京都新宿区出身
東京・会津若松・仙台など多拠点で活動。

ミュージシャンとして音楽活動を経験し自主レーベルを主催し独立。
イベントの企画・運営などを行う。
主催する音楽活動の学び場「リーダーミーティング」では、多くのフリーランスアーティストを輩出する。

「音楽業界 金のバイブル」(著)/ブログ歴14年/作家・編集者としての肩書きも持つ。
音楽雑誌や教則本を中心にKindle書籍を100作品以上リリース。

▼X
https://twitter.com/artist_field

▼Instagram
https://www.instagram.com/creators_agent_club

インタビューを終えて

気づいたら1時間半以上も話していましたが、話が合いすぎてまだまだ話し続けられるような感じがしました。

台本なし、ほとんどぶっつけ本番のフリースタイルでのインタビューではありましたが、とても大事なことをたくさんお話してくださり感謝の気持ちでいっぱいです。

スタイリング・メッセージ

夢を応援し合う文化を創造したい。

そうした願いが生まれてくるということは、つまり、現実はそうではない、ということ。

夢を持ち、挑戦しようとするとき、必然的に他の人たちとの関わりが生じます。

その中で、心から他の人の価値観を尊重し、夢に向かって歩んでいる同志を讃え、ともに歩むには、少しの勇気が必要です。

自分のことそっちのけで他の人ばかり応援していると、しばらくして苦しくなってくる。

だからこそ、自分自身に向き合う時間も忘れずに。

私は大関さんの語る言葉の行間から、そんなメッセージを受け取りました。

あなたの夢は、私の夢。

一人称を超えた夢は、あなたと私を繋ぎます。

満ちる
夢を応援し合える文化をともに創っていきましょう!