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「時間がないなら、演奏せざるを得ない環境に自分を持っていく」ベーシスト森田悠介さんロングインタビュー(#2)

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満ちる
森田悠介さんのロングインタビュー2回目は、音楽を人に教えるための姿勢、森田さんのライフスタイル、忙しい日々の中で音楽と向き合う時間をいかにつくるかについて聞きました!

前回の記事(#1)はこちら↓

「子どもの頃から、不思議と歌詞よりもサウンドそのものが聴こえていました。」ベーシスト森田悠介さんロングインタビュー(#1)

次回の記事(#3)はこちら↓

「音楽で一番大事なのは、”Feel”(感じること)」ベーシスト森田悠介さんロングインタビュー(#3)

先生との相性で、その人の音楽の可能性がなくなるのはもったいない

ーー私が初めてギターのレッスンに行ったとき、おかしなことに「弦をいっぺんに弾いてもいいですか?」って聞いたんですよ(笑)。
大人なら普通に考えて6本の弦をジャーン!って一度に弾くと分かっていますよね。
でも子どもだからいっぺんに弾くっていう概念がなかったんです。
大人と子供にはそんな捉え方の違いもありますね。

そうですね、弦の弾き方から教えてもらわないとわからないですもんね。

僕たちみたいに音楽を専門にやってきた人間は当然、うまくできるようになってきてるわけじゃないですか。

でも、できるのが当たり前の状態で人に教えるのは良くないって思って。

だって僕も最初はできなかったわけだし、分からない人がどう分からないのかを察知する必要がありますよね。

弦をいっぺんに弾くかどうかだって、もしかしたら一本ずつ弾いたほうがその人にとっては素敵な音が出るかもしれないとか、教える側がいろいろな可能性を考えてあげたほうがいいんじゃないかなと。

ジャーンって弾かなくても、マルチフィンガーでやる方法もあるし。

僕はどんな先生に出会うかがものすごく大事だと思っていて。それによって、その人の人生が180度位変わる可能性もあるじゃないですか。

「あのピアノ教師のせいでピアノが嫌いになった」という人もいますよね。

それで大人になってから音楽をしてみたら、「もっとピアノをやっておけばよかった」となる人もいる。

先生との相性によってその人の音楽の可能性がなくなるのはもったいないなって思います。

それを解決するには教育の方にも目を向けないといけないなと思いますね。

ーーレッスンのページを拝見したんですが、1レッスン単位ではなく期間契約で、生徒さんと深く接して「その人の音楽」というものに向き合うというのは本当に素晴らしいと思いました。そういったことも悠介さんの考えにつながるのでしょうか?

そうですね。もちろんビジネス的に構造を考えて、収入モデルをしっかり確立しようという考えもありました。

それにまず自分がしっかり潤った状態を作れないと、周りの力になっていく事は難しいのではないかという事も考え始めました。自分一人で生きていけば良いわけではないですからね。

音楽を人に教えることも考え始めた時期が2018年頃でした。

自分の中で当たり前にやってきた事を言語化して伝える事を学んだプロセスも、大きな発見につながりました。

ーーそれでレッスンを始めたんですね。

ベースの技術を教えるっていうよりは音の聴き方とか簡単な作曲方法とか。

そんなに難しくないから作曲もやってみようよって言いたいです。

それで「音の動かし方とかを覚えたら、さらに面白くない?」って思ってもらうのが僕のレッスンのプランですね。

ーーいいですね!悠介さんの価値観がレッスンにも現れていますね!

いちプレイヤーの姿勢を見せることで、レッスンの説得力が増す

(2019年 日本武道館にて)

ーー今の世の中って、コロナの影響でライブ演奏させてもらえないじゃないですか。

これは大きな転換点ですよね。

ーー私は人に教えることを二十歳の時からやっていて、教えるのが大好きで、どちらかというと演者というよりレッスンプロなんですよね。ミュージシャンのなかには「人に教え始めたら演者としては終わり」という考えの人もいて、そういう人がアルバイトで先生をして、(人を)駄目にしてる気がします。

教えることに対して本気じゃないからですよね。そういう人には教えてほしくないなって思いますね。

ーーそうですよね。さっきおっしゃってたように、教えるときに「できるのが当たり前」になってしまうんですよね。

初心者は何も分からなくて、チューニングさえもできないのに。

私が教えていた人も、6弦と1弦の太さが違うことにも気づいてない人もいて。本当に色々な人がいるんですよ。

そんな初心者の人に「音楽って楽しいもので、やってみよう!」っていう気持ちが削がれるような教え方をする先生もなかにはいるんですよね。

そんな先生だと「もういい!」ってなっちゃって「馬鹿にされた」という気持ちだけが残ってしまうのは悲しいですよね。

それは悲しいですね……。

ーー私には音楽って皆で分かち合うもので、楽しいもので、一生かけて成長していくものという概念があります。

音楽を習う過程でがっかりしたり、つまらないことで馬鹿にされたり、そういう事が続くと人は嫌になってしまうからね。

教えることに対する想いが大事だと思っているところは、悠介さんのひとつの大切な価値観ですよね。まさに私が引き出したいところのひとつですね。

もちろん僕もいちプレイヤーで居続けたいですし、そこを退いてしまったら説得力が伴わないとも思います。

大学時代に教わっていたカシオペアのベーシストのナルチョさん(鳴瀬喜博さん)は、喋りがめちゃくちゃ面白いし教えるのが上手なんですけど、70歳を過ぎても未だにカシオペアで爆音でライブしているんですよ!

それが僕のひとつの理想的な姿勢でずっと尊敬しています。

やっぱり、ちゃんと活動して音楽でエネルギーを出して受け取ることをしていれば、自分がまずエネルギッシュでいられるじゃないですか。

自分が演者としての姿勢を見せて「音楽家って面白いんだな」って思ってもらえる自分でいないと意味がないなと思っています。

「人に教えること」と「演者」のバランスはその時々で難しいものです。

今みたいにコロナで演奏活動ができないときは、考えを整理してみたりだとか、レッスンに力を入れてみたりだとか、そういうタイミングもあると思っているんですよ。 

忙しい日々のなかで、音楽に向き合う時間をどうやって作るか

ーー音楽活動をしていると練習時間がなかなか取れないとか、せっかく時間を取ったのに集中できなかったりするとかがよくあるんですよね。

駆け出しの頃はライブの回数がそこまで多くないと思いますが、そこからどんどんライブの回数が増えて忙しくなってくると、自分がやろうとしていた練習よりも、ライブの本番のための練習や準備が優先されてしまいますよね。

それで自分の時間をじっくり取るのは難しくなっていく。

わかります。

ーー実際に音楽家の人の1日の過ごし方を聞けば、音楽活動をしている人の参考になると思います。もちろん、どんな1日が理想なのかは人によって違うし、一人暮らしか家族がいるかでも変わってくるとは思いますが。

そうですよね。それはかなり影響すると思います。

ーー私は最初の子が生まれるまで8年間のブランクがあって、楽器を再開したのが妊娠していたときだったんです。

そうすると、練習をしようとしても子どもに手がかかってなかなかうまくいきませんでした。

それでも夢があるから続けられたんですけど、いつ、どのように自分の時間を作ろうかというのは悩みどころですよね。

子育てしながらの音楽活動は想像を絶しますね。

ーー子どもが泣きわめいたり大変な中で、細々続けていくと段々周りの方に協力してもらえるようになりました。昔熱心にやっていたものの、私のように結婚であったり、はたまた仕事であったりで、なかなか時間はとれない、でも音楽をしていきたい、という人は結構いるように思います。

一方で帰ってくると疲労などもあり、練習する気にならないということもあるようで。いつ、どのように練習するのが効率的でしょうか?子どもから大人まで音楽を続けてきた悠介さんに時間の使い方をぜひ教えてほしいです。

仕事をし始めると準備などで時間を取られちゃうのはミュージシャンでも同じなんです。

僕のおすすめは「毎日少しでも何かをやること」。

僕の場合は今年(2020年当時)に入ってからですが、毎日ツイッターに、「#毎日モチーフ」と題して動画を1つ投稿しています。

このようなタスクがあると、1日数分は音楽に触れる環境がありますし、人に見られるという緊張感があります。

もちろん、人それぞれのやり方でいいと思いますが、演奏をする人なら演奏せざるを得ない環境に自分を持っていくのがいいと思いますね。

僕の師匠のナルチョさん(鳴瀬喜博さん)の言葉に「人はとにかく続けていれば誰かが見てくれている」というのがあり、とても感激して印象に残っています。

とにかく人目に触れる機会を持つこと。今はSNSとかも活用できる時代ですしね。

筋トレやTwitter、音楽以外の趣味も習慣化!

ーーナルチョさんの言葉、とても良いですね。私も感動しました。

あとは音楽って音楽だけやってればいいってわけじゃないので、それ以外の趣味の時間とかにも発見があったりするんじゃないかなと。僕の場合は筋トレです。

ーーインスタでムキムキな写真見ましたよ(笑)

そうですか(笑)月並みですが、暮らしの中で運動を取り入れると前向きになれる気がします。筋トレはやればやるほど結果が出てくるので、「よっしゃー!」みたいな感じになるし、その感覚を音楽に持ち込んだりしてますね。

ーーなるほど。ちなみにツイッターを確認すると、短いツイートをたくさんしていますね?1日平均8.7回ツイートされてますよ?

ツイートをたくさんする日としない日があります。もう少しコンセプトをはっきりした方がいいのかな?(笑)

ーー1日の使い方として、筋トレを例に挙げられてましたが、習慣化するところが難しかったりしませんか?どうしても怠けてしまったりするのが人間かと。習慣化する場合は、時間を決めて行動しているんですか?

例えば僕の場合ですと、ライブの帰り道にジムがあるので、必ず寄るってことにしてました。今は崩れつつあるけど(笑)

ーー朝は何時ごろ起きてますか?

朝方を意識していて、それでも8時か9時くらいに起きます。日によってバラバラですが、午前中にツイッターやブログをこなし、午後に制作物などの仕事をしていますかね。

とはいえ、制作の調子が乗ってくると深夜になっていることもよくありますが(笑)

ーー日によって違いますよね。ツイッターの動画投稿は時間を決めているんですか?

最近はある日に撮り貯めてネタをストックするやり方で、1つずつ毎日夕方くらいに流してます(2020年時点)。今は動画のテーマを決めていて「毎日スケールを1つずつ紹介しよう」ってテーマなんですけど、段々マニアックになっていくんだよね(笑)

1か月後とかを目標にして、逆算してこの日までにこれをしよう、という風に決めると取り組みやすいかもですね。

ツイッターだとハッシュタグつけたりとか、自分のフォロワー以外にも見て貰える可能性があるから、反応の良し悪しとかも研究・分析できます。

こうしたらいいね!が増えるのか、とか日々の発見も楽しめるポイントですね。

ーー例えば実際の投稿である、フリジアンスケールの図とか、五線譜とかも貼り付けているのは、自分で作っているんですか?時間がかかりそうですね。

自分で作っています。最初は時間がかかりました。僕は自分で動画ソフトを使っていますが、得意な人に頼るのも手かと。コラボレーションですね。

森田悠介さんのTwitter

ーー時間をうまく使うには、自分だけでどうにかしないっていうのもコツなんですかね。

それもアリですね。1人でやると煮詰まっちゃうので(笑)

ーー たしかに (笑)

ベーシスト森田悠介さんに#1では生い立ちについて、#2では「教えること」と「ライフスタイル・習慣化」についてお話しいただきました。

まだまだ貴重なお話は続きます!

満ちる
最終回の#3では、音楽に向き合う上で「一番大切にしているマインド」についてを聞いていきます。ぜひ続きも読んでみてくださいね。

#3 へ続く

「音楽で一番大事なのは、”Feel”(感じること)」ベーシスト森田悠介さんロングインタビュー(#3)